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学校と文化施設をつなぐ、ティーチャーズ・プログラム[前編]

イベント・レポート

No.001
event report 03
東京都現代美術館の常設展を鑑賞する「作品鑑賞プログラム」

——先生の発見や気づきの先に、子供たちの未来を見据える

「ティーチャーズ・プログラム」とは


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2015.10.03

東京都歴史文化財団が夏休み期間中に都内の小中高校の教職員を対象に行っている「学校と文化施設をつなぐ ティーチャーズ・プログラム」。普段は教壇に立つ先生方が、東京都立の美術館、博物館、ホールなど7つの文化施設と1機構で行っている教育普及事業を体験し、授業に役立てていただく取り組みです。

8月に江戸東京たてもの園で行われたプログラムを中心に、3回にわたってレポートします。前編では「ティーチャーズ・プログラム」とはどのようなものか、江戸東京たてもの園以外の場所で行われたプログラムを紹介します。


授業や校外学習への活用を目的に

「ティーチャーズ・プログラム」は総合学習や生活科はもちろん、美術、社会、音楽など各教科の授業、また社会科見学や鑑賞教室といった校外学習への活用を目的としています。例えば校外学習で美術館に行く場合、ただ作品を見て感想を書くといった鑑賞方法以外にも、どうしたら子供たちがより深く作品を鑑賞したり、気づきを得たりできるかを、鑑賞の専門家である教育普及担当者がさまざまな方法で先生方に伝えます。

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東京芸術劇場では必修となったダンス授業を実践できるコンテンポラリーダンスを体験

小学校の授業で使えるよう、授業と同じ45分のプログラムを入れたり、ワークショップなど実践的なことを体験してもらったりと工夫を凝らしてプログラムを考えています。8回目となる今回は、7月から8月にかけて7施設1機構の計8つのプログラムを行いました。いくつかの例を紹介します。

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「ティーチャーズ・デイ」と題した東京都美術館では「キュッパのびじゅつかん」展の鑑賞プログラムを体験

文化施設の方法と実践を、直接伝える

東京都写真美術館では、昔の青写真やコマ撮りで30秒間のアニメーションをつくるワークショップを体験。大人である先生方も夢中で取り組みました。また作品鑑賞の体験では、授業の事前準備や生徒への声掛けなどについて学芸員が実践的な方法を紹介しました。

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制作したアニメーションを⾒る先⽣⽅

東京都江戸東京博物館では「わかりやすいワークシート作り」と題して、実際にワークシートをつくりました。午前中は学芸員が事前につくったワークシートを使い、実際に展示室をまわりながら答えを書き込んでいきます。午後は午前中の実施体験や学芸員の解説をふまえ、グループに分かれて話し合いながらワークシートを作成。最後にはつくったワークシートを使って、別のグループの先生が展示室を見に行くというサプライズも。

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展⽰会場にて説明をする学芸員
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参加した先⽣⽅がつくったワークシート

また東京文化会館では、年間を通して行っている学校・児童向けプログラムを紹介し、東京文化会館オリジナルワークショップを体験。最後はその成果を歌と創作したリズムを交えて参加者全員で発表しました。

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ポルトガルの⾳楽施設「カーザ・ダ・ムジカ」と連携した東京⽂化会館のミュージック・エデューケーション・プログラム

「音楽ホールの大きな課題として、クラシック音楽ファンの少子化があります。お客様の年齢層が上がる一方、このままだとホールに足を運ぶ人がいずれ減っていくでしょう。もちろん音楽ホールだけでなく、美術館や博物館にも子供の頃から親しんでもらうことが大事です。こうした将来のリピーターを増やすといった命題もこのティーチャーズ・プログラムにはあると思います」と東京文化会館事業企画課長の梶さん。

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東京都庭園美術館では、美術館の建築意匠を「たてもの⽂様」と呼び、切り紙を制作
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舞台作品を制作している現場を⾒学した、アーツカウンシル東京のプログラム

先生方の発見や気づきの先に、子供たちの未来を見据えたティーチャーズ・プログラム。文化に触れたとき「なんだかよくわからなかった」で終わらず、なにかを感じるきっかけをどのようにつくるか。その方法と実践を試行錯誤してきた文化施設の経験を生かし、多くの子供たちに伝えることが、豊かなまちづくりにつながるのでしょう。
次回から2回にわたって、江戸東京たてもの園のティーチャーズ・プログラムを詳しくレポートしていきます。

文・構成/佐藤恵美

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