土曜日の午後、青山ブックセンターの奥にある一室に集ったのはデザインベーシックコースの受講生、約30人。この日は「印刷の技術と実践」を学ぶ2回目の授業でした。講師はアートディレクター/グラフィックデザイナーの古平正義(こだいら・まさよし)さんと山田写真製版所のプリンティング・ディレクター、熊倉桂三(くまくら・かつみ)さん。CMYKの4種の版を1枚ずつ手描きでつくり、つくった版を原稿にして、実際に印刷されます。
「印刷の知識を持たずとも、コンピュータで“なんとなく”つくったデータを入稿すると印刷できる便利な時代になりましたが、その反面、強い意思を持って頭の中に描いたものをかたちにするというデザインの基本が抜け落ちてきている様に感じています。黒いペンだけを使ってCMYKの版をひとつひとつ手で描いていく事で、想像力を鍛えつつ、印刷の版の構造をきっちり理解してもらおうという試みです」と古平さん。