東京芸術劇場ではこれまでも、親子で楽しめるコンサートやワークショップなど、老若男女を広く対象にしたプログラムが開かれてきましたが、今回の「マタニティ コンサート」では、妊娠中のお母さん、そして生まれる前のお腹の赤ちゃんにも音楽を届ける、新しい試みとなりました。
発案者は、自身も1年半前に出産を経験し、マタニティ期間を過ごしたソプラノ歌手の小林沙羅さん。「子供が産まれて最初の1年ほどは、子育てに精一杯でなかなかコンサートに行くことも難しかったです。むしろ、妊娠期間中の方が自由になる時間がありました。マタニティのあいだは、ちょっとホッとしたい、音楽を欲する時期でもあると感じました」と、小林さんは振りかえります。
今の時代、妊婦は出産間際まで仕事に携わることも多く、将来のこと、子供のことなど、考えなければならないことが特に増える時期です。小林さんも妊娠中、産婦人科の先生から心身を休めることの大切さを説かれ、音楽を聴いてリフレッシュする必要性を実感しました。
「妊娠中のお母さんは、コンサートへ行こうという気持ちになれない方が多いのではないかと思います。そんな方々にも、安心して来ていただけるようなコンサートをつくりたいと思いました」