たばこと塩の博物館は1978年11月に渋谷区・渋谷公園通りに開館し、その翌年の夏から「夏休み塩の学習室」は始まりました。塩の製造方法や科学的特性といった大人も勉強になる常設とは異なり、小さな子供にも親しみやすい切り口で体験型の展示を展開しています。以来、移転にともなう休館期間中を除いて毎年、「世界の塩」「動物と塩」「からだと塩」といったさまざまなテーマに沿って開催されている人気企画です。第40回目となる今年は、日々の食卓にあがっている料理を出発点に、海のめぐみについて探っていきます。
たばこと塩の博物館 第40回夏休み塩の学習室「さぐってみよう! 海のめぐみ」
イベント・レポート
No.035墨田区にある、たばこと塩の博物館では、毎年7~8月に「夏休み塩の学習室」と題した体験型の展覧会を開催しています。今年は「さぐってみよう!海のめぐみ」をテーマに掲げられ、たくさんの子供たちが訪れました。塩について楽しく学べる展示の様子とともに、会期中毎日開催している実験ワークショップをレポートします。
食卓を彩るさまざまな海のめぐみ
2階の特別展示室では、4つのゾーンを順に巡っていくことで、海のめぐみが海から水揚げ・採取され、加工されてお店に並び、料理へと姿を変え、食卓にのぼるまでの旅路を遡ることができます。
まずは「食たくゾーン」。タッチパネル式のメニューマシンで、60種類ある料理の中から好きなものを選択します。すると、選んだ料理に使われている食材名が書かれた、案内役のキャラクターDr.ソルトからの指示書が出てきました。
次に「お店やゾーン」で、Dr.ソルトの指示書に書かれた食材を探し、その食材と同じ番号のワークシートを手に入れます。「お店やゾーン」に並んでいる食材は、スーパーで売られているような、パッケージに入った商品の状態のものです。魚の切り身など原材料に近いものから、かまぼこや海苔といった加工食品まで、43種類が並んでいました。
ワークシートには写真が2つ掲載され、そのどちらが食材の正しい写真かを、続く「海の中ゾーン」で確認します。「海の中ゾーン」には、海藻の押し葉、魚介類の剥製や模型が並んでいます。普段はなかなか目にする機会のない、海の中にいる時の食材の姿です。海藻だけでも20種類弱あり、魚もマサバ、ゴマサバなど種別に細かく分かれていました。ワークシートの正しい写真に丸をつけたら、「係員室」で答え合わせをします。
料理に使われている海のめぐみは、海産物だけではありません。最後の「塩ゾーン」では、世界各国の塩が12種類紹介されています。こちらのワークシートに書かれているのは、塩の産地と、原料となった海水の年代のクイズです。展示台のボタンを押すと、世界地図の産地の箇所と該当する年代が光るようになっており、古いものでは6億年前の海水からできた塩もありました。
意外と知らない塩の性質
1階のワークショップルームでは「塩の実験室」と題し、自由研究のヒントになる4つの実験が1日3回、展覧会の会期中毎日開催されました。
その1つは参加型の実験で、塩水を使って石鹸をつくります。材料は液体せっけん(ボディソープ)と塩水、道具もプラスチックカップやシンクの排水口に取り付ける水切りネットなど、家にあるものばかりです。
まず塩水に液体せっけんを入れます。すると、透明だった液体せっけんがすぐに白く固まりました。水切りネットで白い塊を取り出したら、プリンやゼリーの入っているようなプラスチックのカップを2つ重ね、その間に白い塊を挟んで上から押していきます。仕上げにクッキー型で抜いて出来上がりです。
こうした実験を通して、塩水が電気を通し、物を浮かせたり固めたりする性質があることを学べました。
展示では海のめぐみや食用の塩について、実験では塩の性質などについて、実際に体験しながら知ることができる「夏休み塩の学習室」。主体的に学べる工夫が詰まった展示や実験は、夏休みの思い出として強く印象に残ることでしょう。
Text:浅野靖菜
Photo:中川周
第40回夏休み塩の学習室「さぐってみよう! 海のめぐみ」
たばこと塩の博物館外観
日程: 2019年7月20日(土)~8月25日(日)
会場:たばこと塩の博物館
住所:東京都墨田区横川 1-16-3
https://www.jti.co.jp/Culture/museum/index.html