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イベント・レポート
No.010
国境を越えて世界に広がる 「ジャパンカルチャー」の魅力とは?

マンガやアニメ、ファッション、アートなど、世界中の熱い視線を集める「ジャパンカルチャー」。その担い手として活躍するアートディレクターの増田セバスチャンさんをお迎えして、来る3月14日、千代田区立日比谷図書文化館でトークショーを開催します。そこで今回は開催に先駆け、増田さんにプレインタビュー!


ストリート発、草の根文化のパワー

「原宿Kawaiiカルチャー」のパイオニアとして国内外で多彩な活動を展開する増田セバスチャンさん。1995年当時、弱冠25歳で原宿カルチャーの源流ともいうべき個性派ショップ「6%DOKIDOKI」をオープンし、近年はきゃりーぱみゅぱみゅ関連のアートディレクションや六本木ヒルズのクリスマスツリーデザインなどでも衆目を集めています。原宿発の「kawaii」は、なぜ急速に世界へと広まったのか。その経緯と視点、今後の活動について語っていただきました。

原宿Kawaiiカルチャーの第一人者、増田セバスチャンさん
原宿Kawaiiカルチャーの第一人者、増田セバスチャンさん

――原宿発の「kawaii」は今や海外でも通じる世界の共通語になりつつあります。その発端となったのが「6%DOKIDOKI」の存在だと思いますが、そこから原宿の「Kawaiiカルチャー」はどのようにしてここまで浸透したのでしょう?

 「6%DOKIDOKI」は、当時主宰していたパフォーマンスグループのメンバーと一緒に、自分のリアリティを感じるカラフルな世界観を表現する場所として原宿で始めました。買うか買わないかでリアルに評価してもらえる“ショップ”が分かりやすいんじゃないかと思ったんです。それがやがて、ファッションの人たちに巻き込まれる形で、原宿のストリートと共に発展しました。「6%DOKIDOKI」のコンセプトは、“センセーショナル・ラブリー”で。度が過ぎたカワイさ、という意味です。“カワイイ”と言うと、日本人だと“可愛い”という漢字が思い浮かび、その瞬間に小動物やお人形さんなどを想像してしまうので、僕が表現したいものとはニュアンスが違うな、と。それであえてラブリーという言葉を使っていました。2000年以降になると、「kawaii」という言葉が海外でも進化をとげて、僕の使っていたラブリーと近くなり、ニュアンスが通じるようになってきました。

――たちまち海を越えましたね。

 2000年台初頭に、90年代の原宿のストリートスナップをまとめた写真集が海外で発売されて、それが注目されたんです。こんなファッションがある日本の原宿ってすごいところだ、と思った海外の人たちが、クレジットを見て6%DOKIDOKIに来るようになり、そこから原宿から生まれたkawaiiという感覚が認知されるようになっていった。SNSの普及で海外ファンのパーソナルな部分が見えてきて分かったことですが、彼らにとってkawaiiは、かわいいものに対しての形容詞ではなく、もっとエモーショナルで、日本オリジナルのカルチャーに対するリスペクトの言葉だったんです。

増田さん主催のワールドツアー「Harajuku Kawaii Experience 2010」において、サンフランシスコで4万人を動員した「J-POP summit」に参加。6%DOKIDOKIのイベントには最多の観客が集まった
増田さん主催のワールドツアー「Harajuku Kawaii Experience 2010」において、サンフランシスコで4万人を動員した「J-POP summit」に参加。6%DOKIDOKIのイベントには最多の観客が集まった

――海外でこれほど熱狂的に受け容れられたのはなぜだと思いますか?

 欧米は大人になることが求められる社会なので、原宿ファッションのように、大人が子供っぽいモチーフやカラフルな服を身につけるのは、まだまだ勇気がいることなんですよ。ユースカルチャーのムーブメントというのは、いつの時代も若い世代が溢れる気持ちを抑えきれなくて、その衝動が爆発して起こる。僕はよくフラワームーブメントを例に出すんですけど、kawaii も同じです。マーケティングありきで大量生産品ばかりがあふれた中で、自分たちの欲しいものは違うんだという思いもあったでしょう。社会の構造も、これまではトップダウンだったけれど、今はもう、そういう時代じゃない。SNSなどで草の根から湧き上がるものが強くなり、本物になる。それが世界のどの都市でもない、日本の、東京の、原宿から発祥したところが面白い現象だと思います。


アーティストとして、ゼロからの挑戦

――kawaiiに象徴されるカラフルな色使いは増田さんのクリエーションの特徴でもありますが、独特な色彩感覚はどのような環境で育まれたのですか?

 僕は生まれた時、耳が不自由で、4歳くらいまでは人が音を聞けるということを知らずに生きていました。普通の人が聴覚で補う情報を視覚から補っていたので、多分、人より見ている色数が多かったと思うんです。それが原体験として今でもずっと残っていますね。最近分かったことですが、僕の感覚にはPANTONEの色見本帳にない色があるんですよ。

昨年8月、横浜BankARTの公開制作展で制作した平面作品《Collorful Rebellion “girls more”》(2013年、ミクストメディア、Fv2000mm)
昨年8月、横浜BankARTの公開制作展で制作した平面作品《Collorful Rebellion “girls more”》(2013年、ミクストメディア、Fv2000mm)

――海外の人からは日本的と捉えられているのでしょうか?

 海外の人から、色使いは特に驚かれます。たとえば僕が美術を担当したきゃりー(ぱみゅぱみゅ)のデビュー曲「PON PON PON」のPVでは、外国ではどこでも手に入るようなポピュラーなお菓子などの箱を演出にたくさん使っているんですが、そういう見せ方は欧米の人はできないらしいです。もちろん、スーパーの商品をカワイイなんて思った事がないということもありますが、配置の緻密さとかアレンジ力とか、そういうところが日本的というか、自分たちにはできないと思うみたいですね。

――今年はアーティストとして海外に進出されるそうですね。

 2月から1カ月間、ニューヨーク・チェルシー地区のギャラリーで初個展を開きます。コマーシャルなアーティストとして見られるのは本意ではないので、デビューの場は日本ではなく、フラットな状態で臨める海外を選びました。今までいろいろな都市を見てきましたが、やはりニューヨークはギャラリー、アーティスト、鑑賞者、すべてにおいて一番クオリティが高い。だからあえてそこで挑戦したかったんです。

――アートディレクターのお仕事とは違う側面が拝見できそうで楽しみです。

 僕にとっては現代美術や舞台の方が先で、アートディレクターの仕事はここ2、3年の活動ですし、アートディレクターの仕事と現代美術では、メソッドもマインドもまったく違いますからね。アートディレクターの仕事は、クライアントも含めて受け手に喜んでもらいたいという思いでやっていますが、アートはもっと自分の哲学や内面を露出して行かないと太刀打ちできない。だから怖いし、苦しいんですよ。本当は見せたくない。でもそれをしないと、嘘をつき続けている感じがするんです。現役としては年齢的に後期に差し掛かっているので、ここから先はできるだけのものを残して行きたい。そのためにも、これまで自分がやってきたことや培ってきた力は本物なのか、世界の舞台で試してみたいと思っています。

昨年のクリスマスシーズン、六本木ヒルズ展望台を彩った《“Melty go-round” TREE》。音楽に合わせてツリー中央部のメリーゴーラウンドが回転し、来場者を幻想的なメルヘンの世界へ誘った
昨年のクリスマスシーズン、六本木ヒルズ展望台を彩った《“Melty go-round” TREE》。音楽に合わせてツリー中央部のメリーゴーラウンドが回転し、来場者を幻想的なメルヘンの世界へ誘った

次回は、トークショーにお迎えするもうお一方のゲスト、佐々木俊尚さんにインタビューします。どうぞお楽しみに。
★イベントの詳細は、本サイトのトピックスコーナーにて順次発表します。

増田セバスチャン

増田セバスチャン
アートディレクター、アーティスト。1970年、千葉県生まれ。演劇・美術の分野で活躍した後、1995年“センセーショナル・ラブリー”をコンセプトとするショップ「6% DOKIDOKI」を原宿にオープン。2009年より原宿カルチャーを世界に発信するワールドツアー「Harajuku Kawaii Experience」を開催。きゃりーぱみゅぱみゅの世界観を初期から支えて注目されるほか、12年のミュージカル「ウィズ〜オズの魔法使い〜」の美術監督、原宿のファッションビル「CUTE CUBE」のオブジェ製作、日本テレビ「PON!」のセット美術なども手がける。今年からアーティストとしての活動に本腰を入れ、2月27日(木)〜3月29日(土)にニューヨークのKianga Ellis Projectsで個展「Colorful Rebellion -Seventh nightmare-」を開催する。
http://www.m-sebas.com

インタビュー・文/杉瀬由希


 
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