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イベント・レポート
No.024
倉本美津留×高橋源一郎トークショー&ワークショップ 『日本語にツッコめ!〜コトバあそびからはじまるコミュニケーション〜

放送作家の倉本美津留さんと小説家の高橋源一郎さんによるトークショー&ワークショップが、去る3月30日、日比谷図書文化館で開催されました。身の周りのさまざまな言葉を題材に、漢字の意味と読み方の両側面から日本語に切り込んだ、ユニークなイベントの内容をレポートします。


こんな読ませ方ができるのか!?
漢字の意味を拡張したキラキラネーム

高橋 「まずは簡単なところから。『緑夢』。これ、読めますか?」
倉本 「普通に読むと、『ろくむ』ですよね。森の中で夢を見ているみたいな、ファンタジーなイメージですね」
高橋 「これは『ぐりむ』ちゃんが正解です」
倉本 「『緑』を『ぐり』って(笑)。グリーンの『グリ』だけ取ってるんですねぇ」

倉本 「『ぷりん』!? 『ぷ』はプリンセスからきてるの?」
高橋 「そう。『姫』を一回『プリンセス』に置き換えて、しかも『リンセス』を取っちゃった」
倉本 「これは読めない。『らぶほ』なんて完全に英語読みじゃないですか。これは、戸籍課は受理しちゃまずいでしょう(笑)」
高橋 「実はこれ全部、2013年度のベスト・オブ・キラキラネームの上位30位に入った名前なんですが、『らぶほ』はネット上で議論になったんですよ。反対派がいる一方で、愛を保つだから可愛いという肯定派も多かった。キラキラネームに抵抗感がなくなってきているんですね」

軽妙な語り口でキラキラネームにツッコむ高橋さんと倉本さん。
軽妙な語り口でキラキラネームにツッコむ高橋さんと倉本さん

倉本 「この漢字はどうなんでしょうね。『なうしか』なら、たとえば『直志香』なんてどうですか? まっすぐな志を香りに漂わせる、みたいな感じで、ナウシカのお姫様っぽいでしょ」
高橋 「うん、こっちのほうがいいね!」
倉本 「漢字には意味があるから、その人となりを表す字を当てたほうがいいと思うんですよ。音だけで決めるんじゃなくてね」
高橋 「漢字の面白いところは、意味をつくっていけることですからね。そう考えると、キラキラネームは無理やり読ませるものが多いけれど、漢字の意味を拡張して捉えるという考え方は、そんなに間違ってないんじゃないかと思います」

「源一郎」の名前の由来を語る高橋さん。若い頃は漢字一文字の名前に憧れたそう
「源一郎」の名前の由来を語る高橋さん。若い頃は漢字一文字の名前に憧れたそう


表意文字の特徴を活かし、
別の字を当てた新しい言葉をつくろう

倉本 「『未亡人』なんて、よく婦人団体が黙っているなと思いますよ」
高橋 「未だ死んでいない人ですからね」
倉本 「夫が死んだら妻も早く亡くなりなさいと。失礼な話でしょ」
高橋 「字から言えば、男でもOKなはずですよね。『人』だから、男女共通に使える言葉にしちゃえばいいのに。もしくは、奥さんに先立たれた夫は『未亡夫』、夫に先立たれた妻は『未亡婦』みたいに字を使い分けるとか」
倉本 「そうそう、つくっちゃえばいいんです。もうちょっと物事を正確に表記する言葉が必要ですよね」


身の回りのおかしな言葉に、参加者がツッコむ!

参加者からのツッコミ①――「しくしく痛む」のしくしくって何?
倉本 「どこからきてるんでしょうね。漢字にするなら『四苦四苦』とか、そんな感じですかね。あとは『死苦死苦』とか?」
高橋 「『死苦死苦』だと、しくしくどころの痛みじゃない感じがするから、四くらいが合ってるね。カレーで4辛とかあるじゃない?  そのくらいなら耐えられる」

参加者から募ったツッコミを紹介しながら独自の見解を語る倉本さん
参加者から募ったツッコミを紹介しながら独自の見解を語る倉本さん

参加者からのツッコミ②――テープもなくなったのに「巻き戻す」という言葉をまだ使っているのが気になる。
高橋 「道具はどんどん変わるけど、言葉が追いついていかないんですよね。原稿を書くっていうけど、実際はキーボードを打ってるわけだしね。僕はいまだに、電話してねって言いながら指を回しちゃう」
倉本 「わかるわかる(笑)」
高橋 「体だけが30年前のままなんですよ」
倉本 「下駄もないのにいまだに下駄箱とか、もう粉じゃないのに歯磨き粉とかね。そういう言葉ってたくさんありますね」

参加者からのツッコミ③――「恋愛」に「人」をつけると、「恋人」だと健全なのに「愛人」だと不健全になるのはなぜ?
倉本 「確かにそうですねぇ。これは、そもそも恋と愛を一緒に考えているところが間違ってるんですよ。恋は幻想で、愛は赦(ゆる)しですからね。まったく違う意味なのに、恋愛という言葉で一緒にしていることが、世の中をおかしくしているんじゃないでしょうか」
高橋 「だから失敗しちゃうんだ(笑)」
倉本 「恋はエロスで、愛はアガペーなんですよ」
高橋 「英語だとラブで統一されているから、日本語のほうが深いのかもね」

参加者からのツッコミ④――「亜米利加」とか国名を漢字にする必要はあるの?
倉本 「日本人は、まず『亜細亜』から考えたんですよね。で、次にアメリカを漢字にしようとした時、『亜』をすでに使ってしまっていたので、『メ』に当てた『米』をとって米国にした。アメリカが米の国って変でしょ?」
高橋 「麦の国ならわかるけどね。イギリスはなんで『英』なの?」
倉本 「エゲレスからきてるんですよ」
高橋 「音だけなんだ。キラキラネームと一緒じゃない」
倉本 「そうなんですよ。フランスを『仏』なんて、インドかと。もっとちゃんと意味を考えてつけるべきですよね」

参加者からのツッコミ⑤――「うるさい」は「五月蠅い」と書くけれど、八月の蝉の方がもっとうるさい。
高橋 「素晴らしい! 同感です」
倉本 「ナイスですねぇ。明日から『うるさい』は『八月蝉い』と書きましょう」

インタビュー・文/杉瀬由希


 
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