――五月女さんのイラストは、笑いの中に昭和の懐かしさを感じます。子供の頃の体験が創作イメージの原点なのでしょうか?
何がバックボーンになっているのか、いまだに自分でもよくわからないんですよ。子供の頃は、基本的に我が家はテレビ禁止で、NHKだけOKだったんです。とはいえNHKだって、夜には大人向けの番組とかもやるじゃないですか。だから今考えると、子供にはトラウマになりそうな社会派のドラマとか結構見ていましたね。そういう昔テレビや身の回りで見た人を、心の中でじっくり咀嚼して、記憶を引っ張り出して描く感じです。小学校の時にあの友達がしていた笑顔とか、役者の顔も思い出せないけれどテレビで見たあの状況とか。それを自分の中で昇華して、ある程度“盛って”描く(笑)。
――絵を描く上で大事に考えていることはありますか?
絶対に品は失わない、というのをモットーにしています。鼻水を垂らしている人とかカツラとか、どんな内容の絵を描いても、目は美しく、姿勢は正しく。その点はNHK育ちですから(笑)。
――描きやすいネタ、苦手なネタはありますか?
描きやすいのはサラリーマン。下ネタは意外と苦手です(笑)。あとはホストとか、今風の人を描くのも苦手。今風の人って眉毛が細いでしょう? 私が描くと、どうしても眉毛が太くなっちゃうんですよ。純粋で素朴な感じの人が好きなので(笑)。だから目元の表情は大事ですね。黒目はすごく丁寧に描きます。
――娘さんとの日常を綴ったwebマンガ「新しい生物〜はるがやってきた! ヤア ヤア ヤア!〜」が好評ですが、お子さんが生まれてから創作に変化はありましたか?
 webマンガ「新しい生物〜はるがやってきた! ヤア ヤア ヤア!〜」(ブックマン社)の第1回より。http://bookman.co.jp/serial-novel/keiko-sootome/manga-1/
子供の絵を描くことが増えました。子供と接していると発見することばかりでびっくりします。娘もお絵かきが好きで、今は女の子の絵ばかり描いているんですが、あんなに何も考えていない線は自分には描けない。その線が持っている感じが、すごく羨ましくて。だから今回のワークショップも楽しみなんですよ。普段あまり絵を描かないという方の絵にはプロには描けない魅力があるので、私の方も学ぶことが多いんです。
――では、ワークショップに参加ご希望の方へ、一言メッセージをお願いします。
ぜひネタを溜めてきてほしいですね。街で見かけた変な人でも、会社や家庭内での鬱憤でも、何でもいいんです。これネタになりそう、と思ったらメモしておいてください。そういう目線で日常を見るだけでも、嫌なことがそんなに嫌じゃなくなるかもしれませんし。あとは当日、思い切り膿を出してデトックスしましょう!
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