東京のアートシーンを発信し、創造しよう。

MENU
MENU

ジョアキーノ・ロッシーニ

アーティスト解体新書

No.023

19世紀前半を代表するオペラ作曲家、ジョアキーノ・ロッシーニ。『セビリアの理髪師』や『ウィリアム・テル』の作曲家として知られ、美食家としても後世に影響を与えています。2018年は没後150年を記念したコンサートも開催され、注目を集めています。


Illustration:豊島宙
Text:浅野靖菜

Share
2018.10.10

ジョアキーノ・ロッシーニ(Gioachino Rossini 1792-1868)

イタリア・ペーザロで生まれる。父がホルン奏者、母が歌手として巡業生活を送る中、ロッシーニも天使のような愛らしい容姿と美声を武器に少年歌手として活躍。18歳でオペラ作曲家としてデビューし、絶頂期には1年に3本のペースでオペラを発表した。生誕地ペーザロで開催されるロッシーニ音楽祭には、上演機会の少ないロッシーニ作品を目当てに世界各国からオペラ・ファンが訪れる。


現在でも上演の多い代表作

代表作のひとつ『セビリアの理髪師』(1816年)は、理髪師のフィガロが伯爵の恋の手助けをする喜劇オペラ。筆の早いロッシーニがわずか13日間で書き上げ、軽快で親しみやすい序曲は単独で演奏されることも多い。その序曲で用いられる「ロッシーニ・クレッシェンド」は、管弦楽が音量を徐々に大きくしながらフレーズを繰り返すもので、キャリア初期からのロッシーニの代名詞でもある。だんだんと盛り上がる音楽は聴くものを高揚させ、物語の世界に引き込んだ。

世界を股にかける音楽家

30代にはイタリアだけでなくパリやロンドンにも活躍の場を広げ、フランスの小説家スタンダールから「音楽のナポレオン」と賞賛されるほど、その名声をヨーロッパ中に轟かせた。しかし、1830年の七月革命が原因でフランス政府との間に結んだ終身年金とオペラの新作契約が無効とされたため、ロッシーニは37歳でオペラ作曲の筆を折る。1835年末に終身年金の支払いに関する裁判に勝訴してからは、サロン音楽家として悠々自適の生活を送ることに。

華麗なハーモニーを奏でる美食家

幼い頃から食に興味のあったロッシーニは、オペラ界引退を機に料理の創作にいそしんだ。フォアグラとトリュフを組み合わせた贅沢な「ロッシーニ風ステーキ」は、美食家ロッシーニの代表作となっている。その情熱は作曲活動にも影響を与え、ピアノ曲に『ロマンティックなひき肉』『アンチョビ』と命名してしまうほど。そのせいか、引退前はハンサムだった見た目もすっかりふくよかに……。

協力:日本ロッシーニ協会

豊島宙(とよしま・そら)

イラストレーター。1980年茨城県生まれ。パレットクラブスクール卒業。

国内外問わず、雑誌、広告、WEB、アパレルを中心に活動中。サッカー関連のイラストレーション、メンズファッションイラストレーション、似顔絵を得意とする。

http://soratoyoshima.net

公式アカウントをフォローして
東京のアートシーンに触れよう!