――これまでの表紙案で、門田さんの特に印象に残る号はありますか。
門田:どの号の表紙もお気に入りですが、私がアイデアを出したなかでは「高血圧」が印象的ですね。高血圧は、心臓から送り出される血圧が高いことで動脈に負担がかかり、血管のしなやかさが失われて動脈硬化が進み、心不全や脳卒中などのリスクを高めてしまいますが、そのメカニズムを心臓=トランペットを強く吹く人、血管=トランペットで表しています。インパクトは大切にしていますが、医学的な事実とも矛盾がないように配慮していす。よく見ると、トランペットが傷ついているところにもこだわっています。

「高血圧」特集の表紙(左)と本文(右)

編集会議の様子
――これまでの読者からの感想で印象的なものがあれば教えてください。
門田:この10年で、読者プレゼントの応募ハガキがたくさん届き、ご感想も寄せていただいています。デザイン面で評価をいただくことも多いですし、健康情報が役に立ったというご意見もいただきます。個人的に嬉しかったのは、70代〜80代の方からの「大変参考になりました」「わかりやすかったです」という言葉です。媒体のイメージとしては若年層向けですが、高齢者の方にも好意的に受け取っていただけているのは、嬉しく励みになります。やむをえず本文は小さい部分もありますが、そのぶんキャッチコピーや見出しだけで、ある程度の情報が伝わるように工夫しているからかもしれません。
――10年続く、秘訣のようなものはありますか。
門田:読者のみなさまの感想や、2015年にグッドデザイン賞に選ばれるなどの実績もあり、社内でも重要度が認知されてきています。薬局の店舗でも、この媒体をきっかけに患者さんとのコミュニケーションが生まれた話も聞きました。採用面でも、他社との差別化が難しい調剤薬局業界ですが、こうした取り組みが注目につながることもあります。発刊当初は社内でも「薬局らしくない」といった厳しい声もあったようですが、社外での評価や効果によって、徐々に理解が深まっています。
――最後に、フリーペーパーの魅力について、どのように思われますか。
門田:デジタルにふらず、あえて紙にこだわるのは、私たちがコミュニケーションをとりたい相手が幅広い年代の方々だからということがあげられます。すべての方に関係する健康の情報を、無料で直接手にとれることが私たちにとって大事で、そこに魅力があると考えています。

株式会社アイセイ薬局コーポレート・コミュニケーション部部長で『ヘルス・グラフィックマガジン』編集長の門田伊三男さん
■『ヘルス・グラフィックマガジン』株式会社アイセイ薬局発行
・創刊年:2010年9月
・年4回発行
・本文頁数:22頁
・判型:200×200mm
・発行部数:15万部
・URL:https://www.aisei.co.jp/magazine/
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