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トーキョー・アートエッセンス
No.003 自分が好きと感じる力を信じる 榎木孝明氏 写真
語り手:俳優 榎木孝明 氏
映画、テレビ、舞台で活躍する一方、世界各地をめぐって水彩スケッチを描き続ける画家としても知られる榎木孝明氏。優しく透明感あふれる作品は見る人を癒し、その世界観に共感を持つ多くの人々の支持を得ています。榎木氏がすすめる絵画の鑑賞法は? また、憧れの画家は? 率直に語っていただきました。

 学生時代、私の東京のテリトリーといえば上野界隈だった。
毎週、足繁く美術館に通ったものだ。当時、美大に通っていた私にとって、美術館めぐりは自分自身の好奇心と癒しのための日課になっていた。
東京は、まさに世界でも有数の美術の宝庫。世界のアーティストの作品を気軽に観ることができた。その後、役者の道に進み、芸能活動が忙しくなり、学生時代のように観る機会が少なくなったのは残念だが、ロケ先などでもチャンスがあればできる限り美術館を訪れるようにしている。

 かつては、水彩画の創作に時間をかけて細密画のように緻密に描いていたときもあった。しかし、いまはすべて現場で仕上げてしまうほうだ。写真に撮って持ち帰ってからアトリエで描くことはしない。それでは現場の空気感が薄れてしまうように思うのだ。水彩の持ち味は何よりもその臨場感だから、そこで感じた外の風を絵に封じ込めることを大切にしたい。いろいろな国を旅してもそのスタンスは一緒。それが、自分の感性を作品に吹き込むことだと思っている。
榎木孝明 《上野》上野精養軒にて 作品集『東京散歩』(美術出版社)より
榎木孝明 《上野》上野精養軒にて
作品集『東京散歩』(美術出版社)より

 ただ、憧れの画家がいないわけではない。自分が描けなさそうな絵を描く画家に対する熱い思いは、いまだに持っている。マティスやブラックもそうだが、誰が一番かといわれれば、やはりピカソだろう。私にとっての水彩画の面白さはできる限り描く線の数を省略して短時間で仕上げるところにある。ただ、実際に描いてみると、形というものはなかなか一本の線だけで結論を出すのは難しく、普通は何本も描いては消すことになる。
ピカソの素晴らしいところは、一本の線に無駄がなく、まさに完璧に描かれていることだ。 だから、自分にとってピカソはある種ずっと目標にしてきた画家でもある。
 自分がようやく無駄な線を省けるようになってきたのは、40代になってからのこと。線のゆがみを恐れる必要はなく、むしろ真直ぐな線が面白いとも限らないということがわかってきた。ゆがんだ線の中にこそ自分の息吹が吹き込めるような気がしている。

榎木孝明《小舟のある景色》作品集『東京讃歌』(美術出版社)より
榎木孝明《小舟のある景色》
作品集『東京讃歌』(美術出版社)より
 いま社会が異端児を認めにくい世の中になっているが、横一線のアカデミックな教育を受けると、逆に絵がつまらなくなってしまう傾向があると思う。創作するにも鑑賞するにも、好きなのか嫌いなのか自分なりの審美眼を養っていけたら、もっとそれぞれの個性が光ってくると思うのだ。

榎木孝明氏の近況
個展の予定
6月19日(火)〜24日(日)秋田西武(秋田市)
7月14日(土)〜9月2日(日)あさご芸術の森美術館(兵庫・朝来市)
7月18日(水)〜23日(月)山形屋(鹿児島市)
テレビ出演の予定
7月12日(木)スタート NHK木曜時代劇「陽炎の辻 〜居眠り磐音 江戸双紙〜」

榎木孝明 榎木孝明 写真
鹿児島県出身。武蔵野美術大学に学び、劇団四季を経てNHK朝の連続テレビ小説『ロマンス』主演でテレビデビュー。映画・テレビ・舞台で俳優として活躍する一方、世界各地の絵を描き続け、全国各地で個展を開催。画集『ロケ地の情景 日本の世界遺産をめぐって』(美術出版社)、『いい加減なスケッチのすすめ』(ビジョン企画出版社)、『東京讃歌』(美術出版社)他、著書多数。

榎木孝明HP:http://www.officetaka.co.jp/
 
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