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トーキョー・アートエッセンス
No.004 郷に入っては郷に従え、それが旅の本当の楽しさ 榎木孝明氏 写真
語り手:俳優 榎木孝明 氏
俳優として映画、テレビ、舞台で活躍する一方、世界各地を旅して水彩スケッチを描き続ける画家としてもその才能をみせる榎木孝明氏。スケッチブック片手に各地をめぐる旅の楽しみ方とはどんなものなのでしょうか。俳優として、また画家としても活躍する榎木氏の舞台裏に迫ります。

 ロケで旅をするときなど、どこに行くにしてもスケッチブックは必ず持って歩く。スケッチはあくまで気が向けば描くということで、気が乗らなければ描かないときもある。旅を楽しんだ結果、絵を描きたくなったら描くのが私のポリシー。実際、無理に描いた絵は面白くないし、自分の心が弾まないとたぶん観る人にもその心が伝わらないだろう。だから、描いていて飽きたときがやめどきだと思っている。
  私の場合、芝居の中でもよく絵画的な発想をすることがある。それは、意識の中で芝居というものを色で表現したり、役者に対しても色でイメージしてみるということだ。

 私にとっての芝居の空間は、自分の日常とは別の時間軸で区切られた空間であって、それを想像しながら、今を演じていると、芝居の楽しみがグッと増してくる。それは、絵を描くときも同じこと。風景は空間として繋がっていて、目の前の景色は背景の一部だという意識をもって描く。自分は大自然の中の一点として存在し、たまたま目線が前方を見て一部分を切り取っているに過ぎない。自分が自然の一部だという感覚を覚えるとこれが実に楽しくて、私にとっては至福の時間になる。

 スケッチ旅行だけではないが、今までにさまざまな国を旅してきた。海外では、何故かインドが好きになり10回以上訪れている。インドは、人によりまったく違った解釈をされる国だと思う。そこはヒンズーとイスラムの世界で日本の常識が通用しない場所。それが訪れた人にとって楽しめるかどうかということだ。概して、私たち日本人は旅を楽しむことがあまり上手くないのかもしれない。それは、日常の自分をもって旅をするからだと思う。まず日本人という意識を捨てること。日本人である前に地球人であると思えばいい。そうすれば、見方が変わり旅先で会った人の反応も全然違ってくる。そこには言葉はいらない。心の底から交流できたらこんなに楽しいことはない。郷に入っては郷に従え、それが旅の醍醐味だといえる。 榎木孝明 《水辺の生活》 インド バナラーシー 作品集 『自分への旅』(清流出版)より
榎木孝明 《水辺の生活》 インド バナラーシー
作品集 『自分への旅』(清流出版)より

 かつて、「アダン」という映画で奄美大島出身の画家、田中一村役を演じたことがある。ひとつの作品に対して時間をかけて描く緻密なタイプの一村と私は違うが、あれだけ自分を貫き通した生き方には感銘深いものがある。もし魂というものが存在するのであれば、一村に限らず私は魂との語らいを大事にしたい。役柄を務める上でその魂は今何を感じているんだろうということを考える。私が役者をしているのは、役柄を再現したときにその魂が喜んでいるような感覚を味わいたいからだ。

榎木孝明 《入陽の浜辺》 奄美大島 諸鈍 作品集『ロケ地の情景』(美術出版社)より
榎木孝明 《入陽の浜辺》 奄美大島 諸鈍
作品集 『ロケ地の情景』(美術出版社)より
 絵を描くことは、ある意味では後に引きずらないその場その場の集中力の繰り返しだと思っている。役を演じるときも同じことがいえる。撮影が終わって打ち上げをした瞬間に、一気に過去の出来事になっていく。絵を描いていても、描き終わった瞬間に過去の存在となりそれ以上の未練はない。捨てるものはどんどん捨てた方が新しいものが入ってくると思っている。絵を描くことも俳優という仕事も、今を一生懸命生きることが大事だと思う自分の性格には本当によく合っているのかもしれない。

榎木孝明氏の近況
個展の予定
7月14日(土)〜9月2日(日) あさご芸術の森美術館(兵庫・朝来市)
7月18日(水)〜23日(月) 山形屋(鹿児島市)
8月8日(水)〜13日(月) 福井西武(福井市)
テレビ出演の予定
7月19日(木)スタート NHK木曜時代劇「陽炎の辻 〜居眠り磐音 江戸双紙〜」出演
8月4日(土)〜 映画「怪談」全国ロードショー
8月29日(水)〜31日(金) 「浅見光彦オーディオシアター」上演(有楽町朝日ホール)

榎木孝明 榎木孝明 写真
鹿児島県出身。武蔵野美術大学に学び、劇団四季を経てNHK朝の連続テレビ小説『ロマンス』主演でテレビデビュー。映画・テレビ・舞台で俳優として活躍する一方、世界各地の絵を描き続け、全国各地で個展を開催。画集『ロケ地の情景 日本の世界遺産をめぐって』(美術出版社)、『いい加減なスケッチのすすめ』(ビジョン企画出版社)、『東京讃歌』(美術出版社)他、著書多数。

榎木孝明HP:http://www.officetaka.co.jp/
 
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