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トーキョー・アートエッセンス
No.019 作家には、自分の作品を大切にしてほしい 小山登美夫氏 写真
語り手:ギャラリスト 小山登美夫氏
清澄白河の「小山登美夫ギャラリー」をはじめ、代官山、銀座と都内に3つのギャラリースペースを展開するギャラリストの小山登美夫さん。本の執筆やコンテストの審査員など、美術の裾野を広げる活動にも積極的です。今回は、アーティストとの出会い、アーティストがギャラリーの作家になるまでの経緯、ギャラリーと作家(作品)の関係について、小山さんにお話を伺いました。

1人のアーティストがギャラリーの作家になるとき
工藤麻紀子《きりかぶごめん》2007年 oil on canvas 194.0×259.0cm
工藤麻紀子《きりかぶごめん》2007年 oil on canvas 194.0×259.0cm

 僕のギャラリーは、現在50人くらいのアーティストの作品を展示していますが、彼らとの出会い、そしてギャラリーの作家になるまでの経緯は、人によって違います。奈良美智さんは、昔から作品は知っていましたが、会ったことはなかったのです。彼がドイツ留学していたころ、僕は白石コンテンポラリーアートで働いていましたが、ドクメンタ9で友人に紹介され、知り合うことになりました。その後、個展を白石さんのギャラリーですることになり、続けて自分のギャラリーでも一緒に仕事をするようになったのです。

桑久保徹《アトリエ》2008年 oil on canvas 194.0×259.0cm
桑久保徹《アトリエ》2008年 oil on canvas 194.0×259.0cm

 他には、たとえば村上隆さんが主宰する「GEISAI」でスカウト審査員をしていたので、そこで見つけたアーティストもいます。工藤麻紀子さんや三宅信太郎さん、福永大介さんは「GEISAI」ですね。桑久保徹さんの場合は「トーキョーワンダーウォール」のファイルで知って「GEISAI」で実際に作品を見て、絵を描く自分を対象化できる作家ということが面白かったので声をかけました。公募展の審査員をやっていて、いいアーティストに出会うと本当にうれしいです。

 もちろん、売り込みもあります。先に挙げた三宅信太郎さんは、「GEISAI」で出会う前に、ギャラリーにファイルを持ってきたそうですが、そのとき僕は、作品をつっ返していたみたいです。でも、断ったあとに「GEISAI」でウサギの着ぐるみのパフォーマンスをしているのを見て、「面白い5人」という枠の1人に挙げました。そのあと作品を見せてもらって、ギャラリーで展示することになりました。桑原正彦さんは、彼が36歳くらいだったかな、白石コンテンポラリーアートで働いているときにファイルを見せてもらって以来、それからずっとやっています。アーティストからの紹介というのも多いですね。

2005年に開催された「GEISAI#8」。小山さんはスカウト審査員として会場をまわり、気になったアーティストに直接声をかけていた。<br>GEISAI#8 Courtesy / GEISAI executive committee
2005年に開催された「GEISAI#8」。小山さんはスカウト審査員として会場をまわり、気になったアーティストに直接声をかけていた。
GEISAI#8 Courtesy / GEISAI executive committee

次回「GEISAI#12」は、2009年3月8日(日)に開催決定!出展の応募期間は9月29日(月)〜1月13日(火)です。詳細は「GEISAI#12」の公式ホームページよりご確認ください。
http://www.geisai.net/
風能奈々《まじない》2008年 dye,gesso,acrylic on canvas 130.5×162.0cm
風能奈々《まじない》2008年 dye,gesso,acrylic on canvas 130.5×162.0cm

 逆に、僕からアーティストを探しに行くということもしています。持ち込みや公募展だけだと、対象が“持ってきた人、応募してきた人”に限られてしまうじゃないですか。アーティストの中には、面白い作品をつくっていても持ち込みに興味のない人もいるわけです。その“応募する/しない”の境界を無くして、作家を見つけていこうと。それが去年からスタートした「ART AWARD TOKYO」です。僕は運営委員もやっていますが、日本中の卒業制作展を見てまわり、面白い作品を見つけると「ART AWARD TOKYO」に出品してほしいとスカウトをするわけです。今年の受賞作家の風能奈々さんは、僕のギャラリーで展示することになりました。僕の場合、作家との出会いはいろいろです。実際の作品を見て、その作家と会って、「展覧会できますか?」「僕のギャラリーでいいですか?」ということを確認して展覧会を開く。そういった流れでギャラリーのアーティストになっていきます。


作品の発表場所を探すことも作家の仕事

 僕やギャラリーのことがテレビや雑誌で紹介されると、メールがいっぱい来るんですよ。「小山登美夫ギャラリーで展示したい」、と。そこで「うちに来たことがありますか?」と聞くと「ないです」との答えが返ってくるんです。ありえませんよね。僕のギャラリーに来たことがないのに展示したい、という人がいるんです。それってアーティスト自身が、自分の作品を大切にしていないということだ、とも思うんです。自分の作品を大事にしていたら、いろんなギャラリー見てまわって、自分にとってどのギャラリーがあっているのか見るのが基本だと思うのです。

 アーティスト自身、自分がどういった作品をつくっているのかを自覚することも大切だし、自分の作品がうまく伝わる場所を探すこともアーティストの仕事のひとつとして重要です。東京だけではなく、京都でも大阪でもどこでもいいのですが、ギャラリーを歩いてみてください。どういう運営をしていて、どんなスペースでやっていて、といったことを見てほしい。「このギャラリストだったら展覧会をしてもいい」「このスペースが好きだから展示したい」「好きな作家がいる」「私の作品はこういうものと一緒に並べてほしい」と、自分でスペースを吟味することが大事だと思いますよ。

インタビュー・文/藤田千彩


次回は…
引き続き小山登美夫さんに、これからのアートシーンについて語っていただきます。[11月13日(木)アップ予定]

小山登美夫(こやまとみお) 小山登美夫氏 写真

1963年、東京生まれ。ギャラリスト。小山登美夫ギャラリー代表。明治大学国際日本学部特任准教授。東京藝術大学芸術学科卒業後、西村画廊、白石コンテンポラリーアート勤務を経て、1996年に小山登美夫ギャラリーを開廊。奈良美智や村上隆をはじめとする同世代のアーティストの展覧会を広く企画・開催。海外のアートフェアにも積極的に参加。公募展の審査員なども務め、若手作家の発掘にも注力している。ギャラリーのアーティストは、加藤美佳、川島秀明、工藤麻紀子、奈良美智、三宅信太郎など(50音順)。現在、清澄白河、代官山、銀座でギャラリー、ショップを運営。11月20日、小山登美夫ギャラリー京都開廊。著書に『現代アートビジネス』(アスキー・メディアワークス/2008年)、『その絵、いくら? 現代アートの相場がわかる』(講談社/2008年)がある。
http://www.tomiokoyamagallery.com/

 
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