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トーキョー・アートエッセンス
No.047 大切なのは、作品を見せる機会をつくること 平川ヒロ 《編まれた四角(Hyatt Regency Tokyo)》 2010年 綿布、糸 207×190.5 cm Courtesy of the artist and Taka Ishii Gallery
語り手:タカ・イシイギャラリー代表 石井孝之さん
2月18日(金)、六本木に「タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム」をオープンした石井孝之さんは、ギャラリーのオーナーとして木村友紀さんや村瀬恭子さんほか、注目のアーティストを世に送り出しています。また公募展「トーキョーワンダーウォール」の審査員も務め、常に新しい動きにアンテナを張っています。今回は、若手作家のみなさんに向けて、石井さんからアドバイスをいただきました。

荒木経惟「69猥景」 展示風景 タカ・イシイギャラリー 2009年5月25日〜6月20日 Courtesy of Taka Ishii Gallery / Photo by KEI OKANO
荒木経惟「69猥景」 展示風景 タカ・イシイギャラリー 2009年5月25日〜6月20日
Courtesy of Taka Ishii Gallery / Photo by KEI OKANO

 東京と京都でコンテンポラリーアートを中心としたギャラリーを運営する、タカ・イシイギャラリーのオーナー、石井孝之さん。東京都が未知の才能を発掘するために主催し、毎年1000点を超える応募作品が集まる公募展「トーキョーワンダーウォール」の審査員を務めたり、若手の発表に足を運んだりと、常に新しい動きにアンテナを張っています。
 公募展やグループ展、ウェブサイトなどが増え、90年代と比べると、若手アーティストが作品を発表するチャンスは広がっているように感じられますが、それでも制作活動を継続し、花開いていくアーティストはほんの一握りの存在。しかも、常にシーンが玉石混淆で多様化し活性化していないことには、その一部さえ生まれ得ません。今回は、石井さんにアーティストを志す、あるいはアーティストとして活動を始めたばかりの世代に向け、新たな道を切り開いていくためのアドバイスをいただきました。


トーキョーワンダーウォールの審査を通じて

 公募展って本来、枠にとらわれない新しい表現を求めているものですが、長く続けている間にやはり傾向のようなものが出てくるんですよね。トーキョーワンダーウォールも10年を過ぎて、これまでの入選作や審査員の嗜好に合わせた作品が出品されるようになってきたように見受けられます。そのような戦略的な作品は審査員にはわかりますし、ましてやそのやり方で繰り返し応募しても実を結ばないということに気づいてほしいですね。

 ですが、1000点くらい、あれだけの数をいっぺんに見るということはなかなかないですから、見終わった後はどっと疲れますけど、楽しいですよ。審査では、広い場所に全点並べて、審査員が歩きながら一点一点見ていきます。基本的に作品1点(組み作品も含む)で判断しないといけないので、作家像を知るには難しさがありますね。やはり作家の全体像を見ないと、その作家の良さや目指しているものってなかなか伝わってこないので。そうはいっても、あれだけの点数のなかから選び抜かれたものにはやはり力がありますね。2009年の大賞者の平川ヒロさんには、トライアルとして、今年5月に京都のタカ・イシイギャラリーで開かれるグループ展に参加してもらうことにしました。

東京都現代美術館「トーキョーワンダーウォール公募2010入選作品展」展示風景

東京都現代美術館「トーキョーワンダーウォール公募2010入選作品展」展示風景

東京都現代美術館「トーキョーワンダーウォール公募2010入選作品展」展示風景
トーキョーワンダーウォールは、毎年1000人を超える応募のなかから100人が選ばれ、入選作による展覧会が、毎年5〜6月に東京都現代美術館で開かれている。さらにそのなかから12人が選ばれ、ひと月ごとに都庁の空中回廊(第一本庁舎と議会棟をつなぐ回廊の展示スペース)にて展示。若手の登竜門の一つになっている。
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/bunka/wonderwall/index.html

会場とウェブ上、作品を見せる場所を使い分ける

 やはり人に見せないとダメだと思うので、公募展に応募するばかりではなく、自分でも発表の機会を設けるといいですね。どこかで人は見ているもので、見せていると情報が伝わってくる。例えば、京都ではオープンスタジオを頻繁にやっていますが、東京でもやればいいんじゃないですかね。一人では難しいけれど、何十人か集まっていれば行ってみようという気になりますよね。東京のスタジオは郊外に多いから、ときには数十人で集まって、都心に近い所で空きビルなど場所を探して発表するとか。もちろん仲間内で見せ合うのではなく、広報も大事。展示の経験を積む必要もありますし。考えればいろいろできるはず。卒業制作展は、美大で行われるものは展示が見づらいのであまり行かないんですが、BankART Studio NYKには毎年行きますね。天井が高くてスペースがいいので、空間の使い方も見られますし。

 ポートフォリオは参考資料であって、最終的には実物の作品を見ないと判断できないから、今取り組んでいることが端的に伝わればいいんです。高性能のカラーコピーですごくきれいに凝って作成している人もいますが、そこまで気合い入れなくていいんじゃないかと思うものもありますね。僕自身はポートフォリオが汚くても、なくてもいいくらい。それよりも会って話すことが大事で。ギャラリーで取り扱うとなったら長い付き合いになるので、対面しないとわかりません。ギャラリーでは、作品を見てほしいという申し込みがあったときには画像データを4、5点送ってもらうことにしていますが、それでだいたいわかりますね。そこでいいなと思ったら次にお会いしてみます。

 このTokyo Art Navigationの「アーティスト・ファイル」のようなウェブサイトでの発信も、自分の作品を人に見せるツールの一つとして利用すればいいんじゃないかと思います。私はウェブだけでは参考にしませんけれども、チェックしている人もいるかもしれないですし。ウェブ上のアートフェアでも、何回か実際に見ている作家の作品をチェックするとか、写真や版画のエディションを購入するとか、慣れている人にはやはり有効なツールですね。ですから、実物の作品を見せる機会をときどき持ちながら、ウェブで常に見られるように更新していくとか、併用して使い分ければいいんじゃないでしょうか。


インタビュー・文/白坂ゆり


Information

タカ・イシイギャラリー(東京/清澄)とタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム(東京/六本木)は3月21日(月・祝)まで臨時休業中。タカ・イシイギャラリー京都は通常通り営業。

■荒木経惟「愛の劇場」

会期/ 2月18日(金)〜3月26日(土)
時間/ 12:00〜19:00
休廊/ 日曜日、月曜日、祝日
会場/ タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
東京都港区六本木6-6-9 2F

■ケリス・ウィン・エヴァンス

会期/ 2月26日(土)〜3月26日(土)
時間/ 12:00〜19:00
休廊/ 日曜日、月曜日、祝日
会場/ タカ・イシイギャラリー
東京都江東区清澄1-3-2 5F
次回は…
引き続き石井孝之さんに、六本木にオープンした新スペース「タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム」についてお聞きします。[3月24日(木)アップ予定]
石井孝之(いしい たかゆき) 石井孝之(いしい たかゆき)

1982年に渡米。ファッションからアートに専攻を変え、ロサンゼルスのOtis College of Art and Designで学ぶ。日本のアート業者向けに現地の作品を買い付け、自身でもコレクションを始める。帰国後、1994年に豊島区大塚にてタカ・イシイギャラリーをオープン。2003年1月に新川に移転。2005年11月より、清澄白河に再び移転し、現在に至る。2008年、「タカ・イシイギャラリー京都」をオープン。2011年2月、「タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム」をオープンした。主な取り扱い作家は、荒木経惟、森山大道、木村友紀、村瀬恭子、トーマス・デマンド、エルムグリーン&ドラッグセット、スターリング・ルビーほか。
http://www.takaishiigallery.com/

 
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