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松蔭先生の課外授業
No.009
トーキョーワンダーサイト
ゲスト:アーティスト/戸田沙也加さん
「松蔭先生の課外授業」では、松蔭浩之先生が若手アーティストと都内の展覧会を訪れ、展覧会の見方、美術館の楽しみ方を解説します。トーキョーワンダーサイトレジデンスの「オープン・スタジオ」をあとにした松蔭先生と戸田沙也加さんは、TWS渋谷のカフェへ。戸田さんの作品ポートフォリオを広げて、話が弾みます。
TW渋谷の公園通りに面したカフェ、「TWSアートカフェ 24/7 coffee & roaster」にて

TWSレジデンスを見学した松蔭浩之先生は、戸田沙也加さんのポートフォリオ(これまでの作品をまとめた冊子)を丁寧に眺めた。

松蔭 あっ、この絵は覚えてる。

戸田 ミヅマ・アクションで展示した作品です(2012年の「MIZUMA ACTION To The Future」展に出品)。

戸田沙也加《Gerden》 1620×1300cm キャンバス・筆ペン
戸田沙也加《Gerden》 1620×1300cm キャンバス・筆ペン

松蔭 ずっと、ペンで細密画を描いてるのか。この動物は、オオカミ、それともコヨーテ?

戸田 ……獣としか言いようがなくて。ずっと獣と少女のシリーズを描いてきたんですよ。よく赤ずきんと言われるんですが、そういうわけではなくて。

松蔭 どういう経緯で獣と少女に至ったの?

戸田 友人が獣に囲まれる夢を見て、その話が強烈に印象深くて。で、毛並みが描きたいという衝動が芽生えて。

松蔭 友だちの夢がきっかけというのは面白い。そこからイマジネーションがわいたんだろうね。

戸田 そしてこちらが、卒業制作で描いた作品です。「アートアワードトーキョー丸の内2010」で木幡和枝さんから審査員賞をいただいて。対になっていて、2点でひとつの作品です。

松蔭 ポートフォリオでは、対の作品は並べて見せたほうがいいよ。

戸田 言われてみれば……、確かにそうですね。ありがとうございます。

戸田沙也加《少女群像図「窓」》2009 1940×1305cm キャンバス・筆ペン
戸田沙也加《少女群像図「窓」》 2009 1940×1305cm キャンバス・筆ペン

松蔭先生のアドバイスは、いつもどおり具体的で的確だ。そして2人の会話は、さらに弾んだ。

松蔭 学校を卒業して、美術家として続けていこうと思ったきっかけは何だったの?

戸田 実は学部の3年生の頃から就職活動を始め、教職免許や学芸員の資格も取りました。それで、五美大展(五つの美術大学の合同卒業制作展)を見に来た小山登美夫さんが、「面白い絵だから、アートアワードに出してみない?」と声をかけて下さって。さらに賞までいただいて、美術家の道も面白いんじゃないかと思うようになって、大学院に進学しようと決意したんです。

松蔭 学校の先生じゃなくて、外部の人から褒められると自信につながるからね。

戸田 ええ、本当にそうですね。大学院の修了制作展の時には、高橋龍太郎さん(現代アートコレクター、精神科医)が見に来て下さって、後日、「ポートフォリオを見せにいらして下さい」とお手紙をいただいたんです。それで、作品も買っていただけて、その作品は河口湖美術館での「高橋コレクション展」に出品されて。

戸田沙也加《美しさのあるところ》2012
戸田沙也加《美しさのあるところ》2012

このように書くと、戸田さんのアーティストとしての足取りは順風満帆のように思えてくるだろうが、早合点は禁物だ。修了制作を完成させた後、戸田さんはどうなったのか──。

松蔭 最後に作品を発表してから3年が経つらしいけど、この間、どうしてたの?

戸田 いまは新作に取り組んでいます。ただ、実は大学院を修了した後、燃え尽き症候群になりかけてしまって……。

松蔭 ん、どういうこと?

戸田 学校を出て実家に戻ると、当然ですけど、学校のアトリエのようには機材も設備も何もない。それで、しばらく何もできない時期が続いたんです。でも、どうしても何かをつくりたい欲望が自分の内側にあって、それを実現しないとダメだと気づきました。

松蔭 新作はどんな感じなの?

戸田 6メートルの絵です。修了制作では4メートルの絵を描いたんですが、それ以上に大きくて。

松蔭 内容も変えるの?

戸田 全然違います。これまで手がけた作品と共通する点はまったくありません。獣も少女も出てきません。植物がモチーフなんですよ。実家が盆栽屋でして、子どもの頃からずっと植物に囲まれて育ったんです。ですから、原点回帰といったところですね。

松蔭 色は? モノクロもやめるの?

戸田 ええ、モノクロではありません。極彩色で描いています。

松蔭 ほほう、完成が楽しみだね。

6メートルの新作を制作する戸田さん 6メートルの新作を制作する戸田さん


構成/新川貴詩

松蔭浩之(まつかげ・ひろゆき)

1965年、福岡県生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業。在学中に平野治朗とアート・ユニット「コンプレッソ・プラスティコ」を結成し、90年にベネチア・ビエンナーレに参加。以来、個展やグループ展多数。主な個展に「日常採取〜A DAY IN THE LIFE」(ギャラリー サイトウファインアーツ、神奈川、2014)など。アーティスト・グループ「昭和40年会」会長も務める。
ミヅマアートギャラリー
http://mizuma-art.co.jp/artist/0220/

松蔭浩之(まつかげ・ひろゆき)

戸田沙也加(とだ・さやか)

1988年、埼玉県生まれ。2012年、女子美術大学大学院美術研究科美術専攻洋画研究領域修了。「シェル美術賞2010」に入選、「アートアワードトーキョー丸の内2010」で木幡和枝賞を受賞するなど、在学中から頭角を現す。「ワンダフル・マイ・アート-高橋コレクションの作家たち」(河口湖美術館、2012)などグループ展に参加多数。台北やベネチアでも作品を発表。
http://www.sayaka-toda.com

NAOMI YUKI

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