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ステップアップ
No.006
作品写真の撮り方
Step.6 平面作品の撮影のコツ

これまで作品ファイルのつくり方を特集してきましたが、今回はその中で要となる作品写真の撮り方を紹介します。デジタルカメラの普及で誰もが簡単に写真を撮影できるようになった今、機材の基礎知識と、撮り方のコツをつかめば、自力で作品を撮影することも可能です。今月は撮影に必要な機材と平面作品の撮り方について、来月は映像・立体・インスタレーション作品の撮り方などについて紹介しますので、記事を参考に実践してみてください。


作品撮影に必要な機材

作品の魅力を伝えるための撮影には、カメラだけでなく、さまざまな機材も必要になります。これからも制作し発表し続けることを考えれば、作品撮影は自作のアーカイブ化にも役立ちますので、少しずつ機材をそろえていくのもよいでしょう。

■カメラ
作品撮影の際に使用するカメラは、デジタル一眼レフカメラが一般的です。一眼レフカメラとは、ファインダーから見たままのイメージを撮影できるカメラで、画質が良く、レンズの交換ができるのが特徴です。最初は標準装備されたもので問題ありません。コンパクトカメラでも撮影は可能ですが、レンズ交換ができないので、中望遠(35mm換算で50mm以上のもの)まであるズームタイプのカメラを選ぶのがポイントです。ただし、ワイドレンズ(35mm換算で50o未満)は画面の周辺がゆがむので、平面作品の撮影には不向きです。

■三脚・水準器
三脚とは3本の足でカメラをささえる台で、撮影位置を固定でき、遅いシャッタースピードで撮影してもブレを軽減することができます。三脚は大小さまざまなものがありますが、できるだけ大きくしっかりしたものを選ぶとよいでしょう。水準器はカメラの画面の水平と垂直を確認するための機材で、カメラに取り付けて使用します。

■ライト・コード付きソケット・照明用のスタンド
撮影の際、作品には均一にライトを当てます。ライトは写真用電球、または電球型の蛍光灯を利用します(明るさは100〜150w)。大きな作品を撮影するときは、光をバランスよく当てるために左右に2個(以上)ずつ使用することもあります。同じメーカー、同じタイプの電球をそろえると発色のバラツキを軽減できます。またライトは、クリップの付いたコード付きソケットに取り付け、専用の照明用スタンドに固定します。

■カラーガイド
作品の色味を印刷物などで正確に再現するために、写真に写し込んでおくものです。カラーチャートとグレースケールがセットになっており、PCで画像の補正や色調整する際の基準になります。

■露出計
正確な露出(シャッタースピードと絞り)を計るために使用する機材。露出計の数値をカメラに設定し、撮影を行います。カメラにも内蔵されていますが、単体露出計で測る方がより正確な露出がわかります。作品の中央・端など位置を変えて光量を測定します。

■ディフューザー
光を拡散させて、やわらかな光にするためにライトの前部に取り付けます。トレーシングペーパーなどでも代用することもできます。


平面作品の撮影の手順

1.撮影スペースを確保する
必要機材がそろったところで撮影の準備に入ります。まず確保したいのが、撮影スペースです。平面作品を撮影するには、作品を設置する壁面、照明とスタンド、カメラと三脚を設置するスペースが必要になります。仮に6畳の部屋で撮影を行う場合、作品はA1サイズ(59.4×84.1cm)程度までが撮影可能な範囲と考えてよいでしょう。それ以上大きな作品はスタジオやアトリエを借りるなどして、より広いスペースで撮影します。

2.作品は壁と平行に設置する
作品を壁面に設置する際は額縁を外し、壁と平行になるようにします。高さは自分の目線よりも少し低いくらいを目安に、三脚の高さも考慮して調整します。

3.光を均一に作品に当てる
ライトは作品に対して、45度の角度で左右同じ距離に設置します。電球の高さは作品の中心と同じ高さに取り付け、光は作品の中心に向けます。

4.レンズと作品の中心をそろえる
カメラは三脚に取り付け、レンズの中心を作品の中心と同じ高さに設定します。次に水準器を合わせ、カメラのファインダーから見て、画面の中心に作品がくるように三脚の位置を調整します。カラーガイドを入れる場合は、作品の横にカラーガイドを両面テープなどで貼り付け、カメラの位置をカラーガイドよりにしておきます。

5.露出を確認し、試し撮りをする
ここで、試し撮りをしてみましょう。露出計で計って、カメラのシャッタースピードと絞りをセットし撮影します。撮影したら、デジカメの背面部のモニターで作品がまっすぐに見えているか、不要な影や映り込みがないかなど確認します。キャンバスなどの影が強く濃く出ている場合はディフューザーを使って光を柔らかくすると、影が弱くなりますが、その分暗くなるので露出は計り直します。

6.絞りを調整するなど、ディテールにもこだわる
作品の撮影では、ピントのあう範囲を広くするために絞りを深く(F11より大きい数字)するので、その分シャッタースピードが遅く(1/4秒や1/2秒以上)なります。また感度は100や200くらいにしておくと、細部の描写もきれいに撮影できます。

7.実物の色味に近づけるための撮影も試してみる
また、ホワイトバランス(WB)をマニュアル設定すると、電球の種類に関係なく正しい色に補正することができます。やり方としては、まず白い紙を作品と同じ位置で撮影します。その画像データを元に、カメラのWBをマニュアル設定にすると、WBの調整が可能です(詳しくはカメラの取扱い説明書を参照)。撮影する際にWBを設定しておき、カラーガイドを一緒に撮影することで、印刷時などにより正確な色調整が可能になります。撮影データはRawデータで撮影すると、専用ソフトで画像処理をする際に細かい調整が可能です。

このような手順で撮影を進め、どうやったら作品がもつ力やディテールを写真に反映できるのか、あなただけの撮影方法が見つかるまで試してみましょう。


もっと詳しく! カメラと撮影の基本

■カメラの画素数と印刷物のサイズの関係は?
最近のデジタルカメラは1000万画素以上あるものも多く、A4サイズ(21×29.7cm)程の印刷物からA3サイズ(29.7×42cm)程度の出力に対応することができます。

■レンズの種類と焦点距離、35mm換算とは?
レンズには、標準、ワイド、望遠レンズといろいろな種類があります。ふつうのフィルム(35mmフィルム)が入るカメラの標準レンズの焦点距離(レンズからフィルム面の距離)が50mmなので、この50mmを標準レンズと呼び、このほかワイドレンズ(14mmや28mmなど)や、望遠レンズ(100mmなど)があります。高級なデジタル一眼レフカメラはCCDなどの撮像素子が35mmフィルムと同じサイズなので、同じ焦点距離のレンズを使っても画角(撮影できる範囲)が同じになるのですが、コンパクトカメラや一般ユーザー用のデジタル一眼レフカメラはCCDが少し小さいのです。そのため、同じ焦点距離のレンズを使っても画角が鋭角に(狭く)なってきます。ですから同じ画角に換算すると少し長い焦点距離になるのです。これを35mm換算と言います。

■電球の種類と使用の注意とは?
電球には一般の白熱球、蛍光灯、水銀灯などいろいろありますが、家庭用のコンセントで使えるのは白熱球や蛍光灯です。写真用電球は白熱球の大きいものと考えてよいでしょう。今回の説明では100wの電球を使うことにしていますが、通常の撮影現場では300wや500wなどの明るい写真用電球を使います。しかし通常のマンションでは、500wの電球を複数使うとブレーカーが落ちる可能性があり、電球もコンセントも熱くなり大変危険です。なお蛍光灯は均一な柔らかい光を発するので、最近の撮影にもよく使われますが、色が緑色になるので、色を補正する必要があります。フィルムで撮影するときは、マゼンタ系のフィルターをレンズの前にセットして撮影します。デジタルカメラの場合はWBを蛍光灯にセットするか、マニュアルで使うとよいでしょう。

■「絞り」とは?
「絞り」は、明るさの調整と被写界深度の調整というふたつの役割があります。カメラには2、4、5.6などの数字が並び、絞りの数字が大きくなると(光を絞ると)被写界深度が深くなり、ピントの合う奥行きが広くなります。平面作品の撮影では関係ないように思うかもしれませんが、実際ピントが合っているのは、レンズの中心だけなのです。つまり画面の周辺部分はピントが合っていないので、被写界深度を広くする(絞る)ことで、画面全体にピントが合うように調整します。

■Rawデータとは?
デジタルカメラなどにおける完成状態にされていない画像データのことで、容量が大きく、無圧縮もしくは可逆圧縮のデータをRawデータと言います。CCDからのデータはそのままでは使えないので、データをフォーマット化する必要があります。その際にJpeg方式に圧縮処理されるものが一般的です。通常のカメラは撮影データをカメラ内のコンピュータでJpegに処理してからメモリカードに保存します。なお、画像処理はデジタルカメラに同梱された専用の画像アプリケーションソフトを使用します。


イラストレーション/ワタナベケンイチ
次回は…
映像・立体・インスタレーション作品の撮影のコツを紹介します。[10月20日(木)アップ予定]
 
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